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- 13遺産分割後の手続き
法律相談に関するQ&A
6 遺産分割に関する注意事項
遺産分割協議通りの履行がなされない場合の救済方法
遺産分割協議では一般に、遺産分割協議書を作成して各自が署名押印をします。話し合いで遺産分割協議がまとまらないときは、家庭裁判所へ調停を申し立てて調停がまとまれば遺産分割協議は調停調書という形で成立します。調停が不調に終わったときは家庭裁判所の審判に移行し、審判官の審判書をもって遺産分割協議が完了します。私文書の遺産分割協議書、公文書の調停調書や審判書も、効力は同じです。共同相続人は協議書や調書、審判所に基づき、内容の実現を図ることができます。もっとも登記所では、私文書による分割協議書については、協議書に署名押印した共同相続人全員の印鑑証明の添付を要求します(調停調書や審判書などの公文書の場合は不要です。)。
預金や有価証券の名義書換なども、協議書に定めておけば銀行や証券会社に協議書の写しを持参して履行してくれます。金融機関に対する預金の払戻請求は調停調書や審判書などの公文書がある場合は写しを持参するだけで、パスポートや運転免許証などで本人確認をすれば可能なようです。これに対して私文書である分割協議書しかない場合は、印鑑証明を添付して相続人間に争いがないことの確認を要求されるようです。共同相続人が遺産分割協議書作成後に履行を拒んだ場合、履行を求める調停を家庭裁判所に起こすことも十分に考えられます。その際に、被相続人や共同相続人の戸籍謄本を添付するように要求されます。
不動産の引き渡しなどは、移転登記を済ませた上で、所有権に基づく明け渡し訴訟を起こすことも可能です。
相続人の1人が勝手に相続分を第三者に譲渡した場合ですが、まず相続開始前はたとえ推定相続人でも相続財産の譲渡はできません。相続開始前は推定相続人といえども期待権を有しているに過ぎず、確定した権利となっていないからです。そのうえ、相続開始前の相続権は、各相続人の一身専属件です。しかし被相続人が死亡して相続が開始した後は、遺産はもはや一身専属件ではなく、相続人の共有財産となり、分割がなされていないだけでしっかりとした財産権になりますので、ほかの財産と同様に譲渡ができます。ただし不動産については相続人全員の印がそろわないと特定の相続人への単独登記はできず、共有権譲渡の登記ができるにすぎません。この共有権譲渡の登記がなされると複雑な問題が生じます。
相続分を譲り受けた者はその相続人の地位を引き継ぎ、遺産分割協議に参加することができます。これを無視した分割協議は無効です。譲り受け人は遺産分割の協議や審判にも参加することになります。これに対して相続人は、相続分を譲受人から取り戻す権利があります。譲渡価格と費用などを償還して相続分の譲り受けを要求することができるというものです。この取戻権は相続分の譲渡があった時から1カ月以内に行使する必要があります。
遺産分割の協議が速やかに整えばよいのですが、合意に達するまでに時間がかかった場合、相続人の一部の者が遺産を隠匿し費消してしまうことがあります。これに対する対策として、家事審判法による調停前の仮の措置と審判前の保全処分を利用して調停の成立又は審判の間まで保全し遺産の滅失・減少を防ぐことが考えられます。調停前の仮の措置の手続は、遺産分割の調停がなされている間に、調停委員または家事審判官は、職権にて、調停のために必要と認める処分を命じることができます(家事審判規則133条1項)。実際には、当事者から申し立てをして職権発動を促すことになっています。この手続により、不動産の処分の禁止や不動産の管理人の選任とその者による管理、債権や株券などの処分禁止、一定の行為の禁止などが考えられます。審判前の保全処分は、遺産分割の審判の申し立てがあった時や、調停が不調に終わり審判に移行した場合に、家庭裁判所が仮差押・仮処分・財産管理人の選任などの遺産の保全に必要な処分を命ずることができます。財産管理人の選任は職権でも行われます。この保全命令には執行力や強制力がありますので、調停前の処置に比べて強力なものになります。



