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法律相談に関するQ&A
5 内縁の妻
現在さまざまなライフスタイルが受け入れられるようになり、あえて入籍せず「事実婚」を選ぶ人も少なくありません。前の配偶者との死別や離別の後に新しいパートナーと実質的に夫婦として生活していても入籍しないという場合もあるでしょう。
このように実質的に夫婦関係にある場合でも正式な婚姻をしていない関係を「内縁関係」といいます。 内縁関係の場合、法律上の夫婦と違い、お互いが相続人となりません。つまりお互いの財産について一切の相続権が発生しないことになります。
しかし社会的には夫婦としての実態を備え、夫婦共同生活を送っているにも関わらず、何らの保護も与えないのは妥当でないという考えから、内縁関係を法律上の夫婦に準ずる関係、すなわち「準婚」として保護するようになってきました。もちろん普通の夫婦に認められている全ての法律上の保護が内縁の者に与えられているわけではありませんが、相続においても内縁の配偶者保護がなされています。
そもそも内縁の配偶者といえるためには、内縁に必要とされる婚姻意思および夫婦共同生活の実態の存在が必要です。夫婦別姓などの理由で婚姻届を出さずに事実婚を続ける場合、従来の内縁とは区別され、内縁と同様の法的保護が与えられるかどうかは未知数です。 内縁当事者の一方の死亡により、内縁は解消します。
ところが内縁配偶者には相続権が認められず、従来は贈与や遺贈を用いて内縁配偶者に財産を承継させていました。書面によらない贈与は相続人から撤回がされる可能性がありますが、判例は贈与の履行の終了を認定し、撤回を信義則違反として認めないことで対応しています。内縁の夫婦関係でも、協力し合って形成した財産については共有財産と認める方法もあります。
相続人が不存在の場合は、特別縁故者として相続財産の全部または一部の分与を受けることができます。 内縁配偶者が事故で死亡した場合、生存内縁配偶者には準婚理論に基づいて夫婦間の扶助義務が準用されるため、加害者に対し扶養請求権の侵害あるいは扶養利益の喪失を理由とする損害賠償請求権も認められます。
死亡した内縁配偶者に相続人がいても、相続人に帰属する損害賠償の額は、生存内縁配偶者の扶養利益喪失分を控除した残額とされます。扶養利益の補償は相続による損害賠償請求権の取得よりも優先されることもあります。 内縁の配偶者の居住する建物に対する居住の保護に関して判例は、非居住相続人からの明け渡し請求を権利の濫用として排斥し、家主からの明け渡し請求を相続人の賃借権を援用して排斥しました。相続人がいない場合は、借地借家法36条によって、内縁の妻の借家権の継承が認められています。
祭祀財産の承継は被相続人の指定が優先するので、被相続人の指定があれば生存内縁配偶者が祭祀主催者となります。被相続人の指定がない場合でも、被相続人と生計を異にしていた相続人ではなく、内縁の妻が祭祀主催者とされたとされた事例もあります。
特別法による保護はほかに、健康保険の保険給付(健康保険法3条7項)、厚生年金保険の遺族厚生年金(厚生年金保険法3条2項)、労働災害の遺族補償年金(労働者災害補償保険法16条の2第1項)、公営住宅の入居者資格(公営住宅法23条1項)、育児・介護休業の申出や深夜業の規制(育児介護2条4項)などがあります。
このように内縁関係者に対して保護がされつつあるものの、完全ではありませんので、内縁関係にある者が自分の死後にパートナーに財産を残したい場合には、生前贈与や遺贈により借地上の建物を内縁の妻名義にしておく必要があります。
なお、遺言にて相続をさせる場合は、相続人の遺留分に配慮することが必要です。
